〔複素解析〕留数定理の実積分への応用①
最近「留数定理気持ちよすぎだろ!」という動画にお目にかかったので, 次の積分を考えてさらに留数定理で気持ちよくなろうと思う。
(問題)
問題:次の の値を求めよ。
(方針)
例えば, のときは,
となるが, これを正攻法で一般化するのは骨が折れる。そこで, 留数定理の出番である。
を考え, その極のうち, の範囲に存在するものを求める。これらの留数を求め, その和に を乗じれば, 図のような周回積分路 について
を求めることが出来る。…①
一方,
であり, ここで の極限をとれば, 第1項は となり, 第2項はゼロへと収束する。つまり,
となる。…②
①②より, 結果として直接求積操作を行うことなく所望の値を得る。
(解答)
1. の極を求める。
極は の複素数解であるから, 結局 の極は, 平面上における単位円周を, 座標 を含まないように 分割するように配置されることに注意する。よって,
がすべての極であり, 特に の範囲に存在するものは
である。
2. の極を求める。
一般に, の1位の極 における留数は
で与えられる(補足1)。 より だから,
つまり
を得る。
3. 留数定理により の値を求める。
さて, 留数定理より
を得る。…③
4. を示す。
一方,
のように積分路が分割できる。以下, 後者について のときゼロとなることを示す( のオーダで収束するのでほぼ明らかではあるが)。積分路は ] より
( より)
である。したがって,
がいえる。…④
5. ③④を比較して結果を得る。
したがって, ③④を比較して
を得る。□
(補足)
補足1
求める留数に対する極が1位であることから, に注意して
を得ている。